いうまでもなく、日本の義務教育は小学校と中学校の計9年間。この9年で、みなさんは何を学んだでしょう。教師が教科書などを使って、各教科の基礎となる内容を教えます。さまざまな最先端の研究は、今まで積み上げられてきた多くの知識を土台にしています。この「多くの知識」の部分を、義務教育で学ぶわけです。
しかし、それだけではありません。考えることも必要です。ここでいう「考える」とは、「自動車が時速 60 km の速さで 30 分走りました。進んだ道のりはいくらになるか、考えなさい」というような「考える」ではなく、答えが決まっているわけではないけれども、自分だったらどうするか、「考える」ことです。
例えば、いつもの昼食。自分が好きなものだけではなく、きちんと栄養バランスのとれたメニューを考えて選んでいるでしょうか。最近の学生は、アラカルトメニューの中から、バランスのとれたメニューを自分で選べない、と言われています。タンパク質をとるためには、肉もあれば魚もある。そのどちらを選べばいいかで悩んでしまう。
社会的なことでいえば、選挙権を得る年齢が今までの 20歳から 18歳に引き下げられました。日本の法律では、一般に成人になるのは 20歳と定めていますが、「成人になる年齢も 18歳に引き下げた方がいいのだろうか」ということについて、どう考えますか。
これらのことは、学校で学んだことを基礎にして、実社会で「考える」ことができるかどうか、が試されています。しかし、ふだんから考えることをしていないと、高校生になったから、あるいは社会人になったからといって、急にできることではありません。そういう練習も、毎日の生活の中で行っていかなければならないのです。