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2018年8月29日水曜日

コアラのゲノムを解析!

法政大学の私のゼミナールでは、最先端の科学研究の成果を伝える Nature Video の内容について解説記事を作成し、Nature ダイジェストのホームページから発信されています。8月号の記事が公開されましたので、ご紹介します。

今月は「コアラのゲノム解析」についての話題です。愛くるしい姿で多くの人気を集めるコアラですが、出産した子どもを腹部の袋で育てるという、オーストラリア大陸で特異な進化を遂げた動物の一種。動画にはとても可愛いコアラが収められています。

コアラは、多くの動物が食べないユーカリを食べて生きています。ユーカリの葉には毒があり、ふつうの哺乳類が食べてしまうと死んでしまうほどの強い毒をもっています。なぜ、コアラはそんなユーカリを食べることができるのでしょうか?

また、コアラの世界では「クラミジア」という感染症が大流行しています。コアラにとってクラミジアは失明、膀胱炎、さらには不妊の原因となる病気。野生動物の病院に入院するコアラの40%は、クラミジア感染症の末期の状態にあるといわれます。なぜ、コアラの間でクラミジアが流行しているのでしょうか?

それらの問いの答えは、コアラのゲノム解析によって明らかになっていくでしょう。ほかにも、コアラを含む有袋類という種類の動物に共通と考えられている、母乳の大切な役割についても解説されています。


ブログをお読みの方で、なにかご質問がありましたら、こちらからお寄せください。ご遠慮なくどうぞ。

2018年5月8日火曜日

原稿用紙、使っていますか?

みなさんが原稿用紙を最後に使われたのは、いつのことでしょうか。マス目が入って、行間が空いている、あれです。小学校の作文を思い出し、夏休みの宿題などのつらい(?)記憶が甦ってきた方もおられるのではないでしょうか。

私のゼミナールで、横書きの原稿用紙を使ってゼミ生に文章を書かせてみました。ゼミ生に聞いてみると、原稿用紙を使ったのは小学校以来という学生もいました。また、最近では大学でのレポート作成や論文などのほとんどが、パソコンのワープロソフトで作成されており、またメモをとることもスマートフォンのカメラで撮影するという、便利な時代になったので、「手書き」という機会が格段に減っています。

原稿用紙の利点は、①どれだけの量を書いたかが一目でわかること、②一度書いた文章を修正(推敲)するとき、行間に書き込む余裕がとられていること、③マス目に文字を書くため、文字を丁寧に書く効果を期待できること、などがあるでしょうか。

逆に、欠点もあります。現代の文章、とくに科学に関する文章には数字や単位、英単語、あるいはアルファベットと数字を組み合わせた記号など、マス目にはめ込みにくい事例が多いことです。これらにはそれなりの記述するルールが設定されていますが、臨機応変に対応することでなんとかなりそうです。

学生の就職試験などのときに、手書きによる書類の提出を求められますが、手書きの文章はそう簡単にきれいに作ることのできるものではありません。このような機会を捉えて、できるだけ文字を書かせて、伝わりやすい内容の文章を作る練習も、学生時代には必要なようです。

2018年4月13日金曜日

授業科目「総合講座I」

法政大学経済学部では、春学期に「総合講座I」という授業科目が金曜の 1時限に開講されています。この授業は、複数の教員がひとつのデーマに沿って講義を担当する「オムニバス」という形式で行われ、教員 4名が数週間ずつ担当します。

今回のテーマは「異文化コミュニケーション」で、授業の概要は
一般に私たちは日本語を使って人々の間でコミュニケーションをとっているが、使用する言語が違えば文化的な側面も異なってくる。いくつかの文化圏を取り上げ、そのような文化と私たちがどのように関わりあうことができるかを探る。また、科学は特有の言語で伝えられることが多いが、私たちが科学を理解し、知識を共有する取り組みである「科学技術コミュニケーション」にも触れ、理解を深める。
というものです。このようなオムニバス形式の授業は、半年の間にいろいろな専門家の幅広い話を聞くことができるという利点があります。

本日は最初の授業でしたので、この科目の取りまとめ役になっている私が担当となり、どのような内容か、評価はどのように行うかなどを説明しました。私以外の 3名の先生方は文化圏というキーワードを通じてコミュニケーションを講義される予定ですので、私からは自然科学的な分野からの話題として(初日ということもあり、柔かい話題として)、「地球外生命体とのコミュニケーションはどうあるべきか」という話題を紹介しました。

もちろん、現時点で地球外生命体が確認されているわけではありません。地球外生命体が地球人に向けて特定のメッセージを送ったり、あるいは地球にやってきたりという事態は科学的には極めて非現実的です。とくにアメリカのロズウェル事件として有名な「未確認飛行物体(UFO)に乗って宇宙人がやってきて、軍が宇宙人を解剖した」などという話は、さまざまな面から総合的に考えると、おそらく事実ではないのでしょう。

そんな話題を紹介しながら、学生たちに「地球外生命体からメッセージを受け取ったとしたら、あなたならどうするか」と聞きました。「まず、何を伝えているのかについて、言語学の専門家を集めて解析する。地球上に似た文字をもつ文化圏があるかもしれない」という答えが返ってきました。続いて、「メッセージに返答するつもりか」を尋ねると、8割ほどの学生が「返答したい」と答えました。この答えについて正解はありませんが、多くの専門家がいろいろな考えをもっています。今後、このことを紹介していきましょう。

さて、みなさんならどうしたいとお考えですか?

2018年4月9日月曜日

インターネットの功罪

インターネットは大学の授業でも積極的に活用されています。私の担当する物理学という授業では、授業中に簡単な確認問題やアンケートなどをインターネットを使って回答するしくみになっています。

最近のインターネット上のツールは、このような活用法をあらかじめ想定しているのだと思いますが、多くの人々を対象にデータを収集するためのページを作成できるようにつくられています。

インターネットを利用することには、いくつかの利点があります。

  • 用紙の配付や回収にかかる時間を節約できる
  • これまでのような回答用紙を配付する必要がないので、紙資源の節約や環境への配慮に役立つ
一方で、また弱点もあります。
  • スマートフォンを持っていない学生がいた場合、別に回答手段を用意しなければならない
  • インターネットのアクセスポイントは、一度にアクセスできる人数に制限があり、同時に大量のアクセスが殺到すると回線がパンクしてしまう
  • データが収集されるサーバーにも、処理能力の限界があり、大量のデータが一度に流れ込むと不具合を生じてしまう
などがあげられるでしょうか。従来どおりの紙媒体での処理の仕方から、データそのものを収集する方法へと時代は変わりつつありますが、すべてで代替が効くわけではありません。

最近の学術論文は、インターネット上でのみ発表され、冊子体では配付されないという事例もどんどん増えています。印刷や配送が行われない分、購読料金が抑えられたりします。私はそれでも、必要な論文は紙にプリントアウトして読んでしまうのですが…

2018年4月5日木曜日

広がる知識

数日前のブログで、可憐な紫色の花を取り上げました。その植物の名前を知らない私に、その花は「スミレ」だと教えてくださった「つんちゃん」さん、ありがとうございました! これがスミレなのですね。スミレって、もっと背の高い植物だと思っておりました…   なんの植物と勘違いしているのでしょうね。

今日の昼過ぎ、外勤のために都心の市ヶ谷を歩いているとき、足元を注意深く見ると街路樹の茂みにもスミレが咲いていました。今までまったく気がつきませんでした。名前を教えてもらうと、なんだかとても得をしたような気がします。おかげでスミレがいろいろなところで見かけられることを知りました。

こうやって知識を増やしていくのだな、と今さらながらに感じます。ちょうど午前中に、法政大学に留学してきた新入生のオリエンテーションで、学生たちにそのようなことを話したばかりでした。そこではこんなことを話しました。
みなさんは出身国から日本にやってきて、文化や環境などが違うところが多く目につくかもしれない。それでも、みなさんの国と日本には、同じことがきっとあるはず。私のように日本にいる人々には、外国と比べて日本がどういう国なのか、それほど実感することはないけれども、みなさんから教えてもらえば、私たちも新しく日本を知ることができるし、みなさんの国のことを知ることにもなる。ぜひ、多くの人といろいろな話をしてください。
多くの留学生が頷きながら聞いてくれていましたが、留学生の日本語のレベルはおそらくまちまちなのだと思います。途中で単語を言い換えたり、身振り手振りで話したりと、これまた先日のブログに書いたように、懸命に伝えようと頑張りました…   あまりに頑張ったので、留学生のみなさんも一生懸命頷いてくれたのかもしれません。

これまでも、物理学を受講している留学生が質問のために私の研究室を訪ねてくれます。そのとき、私は単純な興味・関心から、留学生の出身国のいろいろな話を聞いてみるのですが、とても熱心に説明してくれます。「そういう風習があるんだ」とか、「ああ、そういう意味だったのか」など、いろいろと知ることができて、とても楽しいひとときです。今年もそんな時間があることを願っています。

2017年8月24日木曜日

星空探検隊!

昨日 23日の水曜日、八王子市のグリーンヒル寺田団地で以前お知らせしていた、「星空探検隊!」のイベントが開催されました。ずいぶん多くの方々にお集まり頂きました。ありがとうございます。このイベントの特徴は、子どもだけではない、ということです。幅広い年代の方々が同じものを楽しむひとときです。双眼鏡を使って天体観測する予定でしたので、できるだけみなさんが手に取ることができるよう、10台の双眼鏡を用意しました。

ただ、残念ながらこの日は曇り空で、星を見ることはできませんでした。それでも、使用する予定だった双眼鏡の使い方を説明して実習してもらったところ、「大きく見える〜!」とか、「ちゃんと見えたよ!」という声が。さらに、星の観測では星の角度を測ることが必要ですが、今回の実験をサポートしてくれる「実験のお兄さん(実は法政大学の O課長)」がその方法を皆さんに教えました。

星は見えないのですが、実際に観測する予定だった場所まで歩き、空を見上げてもらいました。近くの牧場の牛や電波塔などを見ながら、双眼鏡の世界を楽しんだ後、ちょうど飛んできた飛行機を双眼鏡で追いかけることなどもできるようになりました。

星を見せてあげられなかったので、会場に戻ってからはハッブル宇宙望遠鏡が撮影したさまざまな宇宙の写真を見たのですが、子どもたちの知識が溢れ出てきました。まるで「子ども科学電話相談」の実演版です。大人たちもびっくりでした。

せっかく用意した双眼鏡を有効に活用するため、この「星空探検隊!」は毎月のイベントになる予定です! 詳細が決まったらお知らせしますので、ぜひおいでください!

(この時期は、バックデートして公開しました。レポートの期日を過ぎて提出する学生の気分がわかったような、わからないような・・・)

2017年8月16日水曜日

サイエンスセミナー(@寺田団地)

8月に入ってから、東京では毎日雨が降っています。ニュースを見ると、これは記録的なことだとか。今日などはクーラーが必要ない室温なのですが、湿度が高いため、結局「除湿」のためにエアコンは必要です。

私自身は暑さは苦手なので、晴れた日はそれほど望んでいないのですが、来週の 23日(水)の夕方から夜は晴れてもらわないとちょっと困ります。その日は「サイエンスカフェ@寺田団地」で、地域の子どもたちと夜空の観測をすることになっているから。



この日は、小学生・中学生(とその同伴者)を対象にして、「夏休み 特別こども企画 星空探検隊」と称して、八王子市寺田町のグリーンヒル寺田団地で観望会を行います。上のような企画のリーフレットが団地中に貼り出されています。

子どもたちが夜空を眺める機会はどんどん減っているといいます。都会の夜でも明るい光で、夜空が明るいこともあるでしょうし、室内でゲームを楽しむこともできることもあるでしょう。グリーンヒル寺田団地は、その立地からも都心部の光に邪魔されずに夜空を楽しむことのできる場所です。

特別な持ち物は必要ありません。「何が見えるのかな〜」という好奇心だけで十分です。夏の夜、ちょっと出かけてみませんか。もし、雨が降ったり、曇ったりしていてもイベントは行います。そのときは、グリーンヒル寺田おひさま広場(室内)で宇宙の写真や映像を見て、楽しみましょう。

詳細は上記のチラシをご覧いただくか、私にお問い合わせください。

2017年8月6日日曜日

オープンキャンパス

私の勤める法政大学多摩キャンパスでは、先日の 5日(土)にオープンキャンパスが行われました。最近はどの大学でも行なっているこのイベントは、高校生が進学先の大学を考える上で、どのような雰囲気の大学なのか、どのような学生が学んでいるのか、などを実際に大学を訪れて体験するものです。

私が高校生だった頃は、このようなイベントはなかったと思います。大学といえば「象牙の塔」で、外から中は見えないのが当たり前。研究内容を進んで市民に伝えることなど、めったになかったように思います。

時代は大きく変わりました。最近の電車内の広告や新聞広告を見れば、国公私立を問わず各大学は競ってオープンキャンパスを一大イベントに仕立て、少子化社会の中で生き残りをかけているかのようにも思えます。オープンキャンパスの企画を広告会社がプロデュースするという大学もあるとか。

高校生も「夏休みの宿題」という感覚でやってくる場合もあります。高校で冊子に製本されたものを手にしながら、さまざまな質問項目を大学生に「インタビュー」している高校生も見かけました。オープンキャンパスは高校生の進路指導にも組み込まれているわけです。

本学のオープンキャンパスでは、教員による模擬授業や学生が相談相手となる進路相談、在学中の留学の仕組み、受験制度の説明などが行われました。オープンキャンパスには高校生のお子さんとご両親とでやって来る人々も多いようです。大学生に熱心に質問されていた姿が印象的でした。

多摩キャンパスでは今月末の土曜日(26日)にも、オープンキャンパスを開催しますので、法政大学を受験校として考えている、あるいはどうしようか迷っているみなさんはぜひ、ご参加ください。

2016年1月11日月曜日

卒業論文、書く? 書かない?

 そろそろ、日本中の大学で卒業論文の提出時期がやってきます。すでに提出期限を迎えた大学もあるかもしれません。私の勤務先の大学では、提出日は明日の12日。例年 1月 9日なのですが、今年は 9日が土曜日に当たり、さらに翌月曜日が成人の日で祝日なので、12日に順延、ということでしょう。

 卒業論文を必須としている大学もあれば、そうでない大学もあります。卒業論文という「論文」の形ではなく、芸術系の学部であれば「作品」を制作して評価を受けることもあります。私の出身大学のある学科では、4年次を含むゼミへの出席と発表内容で評価を定めるというものもありました。

 私の勤務先の大学は、卒業論文を必須としてはいません。さらに、卒業論文を書くためにはゼミに入らなければなりませんが、ゼミに入ることなく卒業することも可能です。どういう仕組みかといえば、卒業までにゼミを履修することで得られる合計 20単位を、ほかの専門科目によって取得することで卒業単位数を満たせばよい、というわけです。

 多くの学生は卒業単位が少なくて卒業延期にならないように、卒業単位数を上回るように単位を取得します。こうすると、ゼミに入っていてもすでに卒業単位数を満たしているので卒業論文は書かない、という選択をすることも可能です。もちろん、そのような選択をすることも自由です。

 一方で、卒業論文とは当然ながら大学時代にしか書くことのできないもので、卒業後、研究者などのような職に就く以外は、論文を書くことはありません。そういう意味では、卒業論文は本格的な論文を執筆する唯一の機会なのかもしれません。大学生として 4年間を送った証明として、学位記(卒業証書)以外に、卒業論文をしっかり仕上げる、という選択肢を有意義に生かしてほしいものです。

2015年9月17日木曜日

ラジオ番組をつくる

 今年の秋学期の演習(ゼミナール)のメニューは、春学期から引き続きとなる、科学英語学習のための「書籍づくり」と、情報を伝えるための練習として「ラジオ番組」の制作を行うことにしました。

 ラジオ番組は 5分間を目安に制作します。制作者のメッセージを的確に、効果的に伝えるにはちょうどいい長さでしょうか。ラジオ番組は音のみで作るので、なんでもナレーションで説明したくなるもの。しかし、それをやってしまうと、却ってわかりにくくなります。録音した音を有効に使って、説明する必要のないものは説明しない、ということが大切です。

 このようなラジオ番組の制作では、自分がナレーターをなって番組を作りますが、そうすることで自分が普段どのように受け応えをしているか、聞き取りやすいかを客観的に知ることができます。

 どんな分野でもいいのですが、「自分が伝えたいこと」を見つけて、楽しみながら制作できればいいと思います。参考になる番組を聴いているのといないのとでは、成果が大きく違います。音のもつ特徴を生かして、かつ 5分でまとまっている番組に、NHK「音の風景」があります。無駄なナレーションはなく、音がでている情景が映像で浮かんでくるような番組です。皆さんもぜひ、お聴きください。

2015年7月14日火曜日

単位パン

 そろそろ大学では春学期の試験が行われる時期です。大学の授業などは「単位」が認定されることによって、その授業を履修したということになります。一般には、15週間で行われる 1科目の授業で 2単位を取得できるのですが、単位認定のためには試験やレポート提出などか課されます。この単位については、文部省令第28号「大学設置基準」の第21条に規定されています。

第21条 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする。
2 前項の単位数を定めるに当たつては、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。
1 講義及び演習については、15時間から30時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて 1単位とする。
2 実験、実習及び実技については、30時間から45時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて 1単位とする。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学が定める時間の授業をもつて 1単位とすることができる。
3 一の授業科目について、講義、演習、実験、実習又は実技のうち二以上の方法の併用により行う場合については、その組み合わせに応じ、前2号に規定する基準を考慮して大学が定める時間の授業をもつて1単位とする。

 かつて物理の試験で、「単位について説明せよ」という記述問題を出題したとき、受講者の一人がこんな回答を書きました。

『単位とは、大学生が 7月あるいは 1月になると取得を切望するものである。大学生は学則によって、これらの単位を規定数以上取得することで、卒業することができる。』

 もちろん、物理学の試験での「単位」について述べるものですから、この回答は残念ながら正解には…

 さて、学生が喉から手が出るほど欲しい「単位」ですが、今の時期、大学生協で「単位パン」なるものが売っています。それがこの写真。



 私は単位を必要とはしていないのですが、買ってみました。結構人気で、比較的早く売り切れてしまいます。お買い求めは 1限と 2限の間の休み時間がベストでしょうか。もちろん、この単位パンをどんなにたくさん買ったとしても、物理の単位はきちんと試験で点数をとってくれないと、あげることはできません。受講生諸君、頑張ってください。

2015年6月29日月曜日

時間の感覚

 今日は大妻女子大の授業の日。「日常生活の数概念」です。今日の概念は、「時間」について。皆さん、時間について、どんなことを考えますか。学生に聞いてみると、
・ どんなものにも共通した速さで進む。
・ 生活の区切りに使われている
というような答えが返ってきました。確かにそのとおりです。

 さて、物理学的な時間の特徴とは、どんなものでしょう。時間はかなり特殊のように思います。たとえば、
・ 時間は前の方(未来)にしか進まない
・ 未来の方であっても、任意の時間に移動できない
という特徴があります。好きな時刻に移動ができれば、タイムマシンです。

 時間と時刻、同じように使っているようですが、意味が違います。「時刻」とは、ある特定の一瞬のことを示し、12:38 のように表されるのが時刻です。一方、「時間」とは、時刻と時刻の間の幅のあるものを指します。5分間とか7ヶ月などのように使われるのは「時間」です。

 受講生に目を閉じて、1分を計ってもらい、1分経ったと思ったところで手をあげてもらいました。自分の感覚がどれだけ正しいかを認識するものです。約50名のうち、ほとんどの学生は 50秒から70秒で手をあげましたが、一番短い人で35秒、一番長い人で80秒。ちょうど1分で手をあげた学生は 1人でした。なかなか難しいものです。

 秒を正確に計るコツは、1桁秒(1秒〜9秒)を「01、02、…」と 0 をつけて頭の中で数えることだとか。皆さんもぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

2015年6月2日火曜日

室内の冷えすぎに対抗する

 6月に入ると暑さに湿度が加わったような気がします。大学の研究室も、やや湿っぽい気がします。今日は九州北部が梅雨入りしたとか。関東ももうじき、梅雨なのでしょうか。

 大学では6月から冷房の運転が始まります。小教室や中教室(150人程度まで収容できます)と呼ばれるところは、教室にいる人が自在に温度調整をすることができますが、450人程度まで収容できる大教室では、そう簡単にはできません。集中的に空調コントロールが行われています。

 冷房を効かせていても、人数が増えてくると、それだけ室温も上がります。また、教室の構造によって、ある場所は涼しいのに、ほかの場所はそれほど涼しくない、ということもよく起こります。教員は立って動いているので、それなりに暑いのですが、座ったままの受講生は寒く感じるかもしれません。この時期、大教室での授業をとっている人は、なにか「薄手の羽織るもの」や「首に巻く薄手のスカーフ」などを持ってくるようにアドバイスしています。首には太い血管があるので、その分体温もどんどん奪われていきます。その部分をスカーフで覆うことで、効果的に保温することができます。

 体が冷えると抵抗力が落ちることが、科学的に解明されています。風邪症候群(いわゆる「風邪」ですね)を引き起こす一般的なウィルスに、ライノウィルスがあります。このライノウィルスは上気道、特に鼻粘膜にとりつき、増殖していきます。マウスの実験で、体温が下がるとライノウィルスに対する免疫力が低下することがわかりました。研究者は、一般に体温が下がると、生まれつき持っている免疫力が低下すると考えています。

 冷房の効いた室内で皆さんの体温が下がると、より風邪を引きやすくなる、ということです。夏の試験期間に風邪でダウン、ということにならないように、今からしっかり対策しましょう。

2015年5月18日月曜日

日常からの発見

 毎週月曜日は、大妻女子大学で「日常生活の数概念」という授業の非常勤講師を勤めています。この授業は、算数・数学の嫌いな女子学生のために、日常的な活動の中から数にまつわる話を取り上げ、机の上の学習だけでなく、身体を使って体験して、数学アレルギーなるものを取り去ることが最終的な目標です。

 今日は「歩測」を体験しました。あらかじめ自分の一歩の長さがどれくらいかを測っておき、何歩歩いたかを数えればおおよその距離を計測できます。このような方法で距離を測ることを、歩測といいます。江戸時代に伊能忠敬は、この歩測を使って正確な日本地図を作り上げました。現代でも、地質学などではこのような方法を使って、地層の状況などを調べます。

 実際に大学の周辺を歩き、歩数を数えて記録しています。もちろん、この実習は、その方法を学ぶことが重要ですが、自分が歩いている周辺にも、ふだんは気がつかないようないろいろなことがあるということに気づいても欲しいと思っています。駅から大学までの道のりは、ともすれば「大学に行くため」あるいは「家に帰るため」だけに歩いているものです。

 でも、少し注意して見渡してみれば、意外なところに花が咲いていたり、気がつかなかった看板があったり、見覚えのない小路があったりと、たくさんの発見があるかもしれません。そういうことに気がついて、自分たちがどれだけ多くの「環境」に囲まれているかを認識して欲しいのです。

 かくいう私も気が付きませんでしたが、大妻女子大学から靖国神社に向かって 50メートルほど歩いたところに、スカイツリーが見える場所があることを、学生が教えてくれました。それから、コインパーキングの料金表示は各パーキングによって「15分で☆☆円」「20分で◯◯円」「30分で△△円」などというように、すぐには比較しづらいような表示になっていることにも気が付きました。これは、特定のパーキングに集中しないような経営上の戦略でしょうか。よく考えられているものです。

 さて、皆さんはどんな発見ができたでしょうか。

2015年5月11日月曜日

100円朝食

 朝食は一日を健やかに過ごすため、もっとも大切な栄養源となります。日中の活動によって損傷を受けたさまざまな組織が睡眠中に修復され、朝には栄養分を補給しなければなりません。しかし、朝食を抜く学生が少なからずいることが調査によって明らかになっています。また、朝食で適切な量の炭水化物を摂らないと、脳の唯一の栄養分であるブドウ糖を補給することができず、授業に出ても学習効果が上がらない、という結果になってしまいます。

 そのような生活を送った学生が社会人になり、引き続き朝食を摂らないままで生活を続けると、偏った栄養バランスから生活習慣病を引き起こす可能性が高くなります。そんな状況の中、学生がしっかり朝食を摂るきっかけになるようにと、学生食堂で朝食を安価に提供する大学が増えています。

 法政大学でも期間限定ではありますが、100円で朝食を提供することになりました。管理栄養士がしっかりと考えた、栄養バランスのとれたメニューになっていて、和食・洋食のどちらかを選択できるようになっています。こういう朝食を、自分で作ることができるようになると生活習慣病にかかるリスクも減ることでしょう。

 この朝食は、法政大学学生限定! 学生諸君、十分に活用してください。

2015年5月7日木曜日

バーベキューの日

 毎年、この時期にはゼミに新しく配属された 2年生の歓迎の意味を込めて、バーベキューパーティーを開いています。今年は晴天に恵まれ風もなく、絶好のバーベキュー日和といったところでした。

 法政大学多摩キャンパスには、ゼミ生やサークルの親睦を深める一つのイベントとしてバーベキューをするための施設が 3カ所に用意されています。火力は炭なので、風があるとうまく火を起こすことができず、今日のような天気はとてもありがたいものです。

 今日集まったゼミ生に私を加えて 14人で、肉は牛・豚・鶏あわせて約 4 kg、野菜はキャベツ・玉ネギ・モヤシ・ピーマン・シイタケ・カボチャ・サツマイモなど、それに飲み物などを買うと、スーパーの買い物カゴは 3ケースにもなります。午後 5時から火を起こし始め、食べ始めが 5時50分頃、7時過ぎには焼きそばを作って、鉄板の上の食材はきれいになくなりました。

 ゼミ生たちは 今月 30日が私の誕生日ということで、毎年いろいろと気を遣ってくれますが、今年は「大人の氷かき器」をいただきました。レシピもついていて、なかなか応用範囲が広いようです。以前からこのような道具があるのは知っていて、欲しかったものの一つでした。ゼミ生諸君、ありがとう。皆さんが「大人」になったら、私が何か作ってあげよう。

真ん中の学生がもっているのが、私へのプレゼント「大人の氷かき器」。

2015年4月24日金曜日

「研究」って、なんだろう?

 私の演習(ゼミナール)では、所属する学生たち(大学では彼らを「ゼミ生」といいます)はそれぞれの研究テーマをもって、個人研究を進めることにしています。共同研究という方法もありますが、個人研究のほうが自らの興味や関心に沿って、積極的に進めることができるだろうと考えるためです。もちろん、演習の授業時間にはゼミ生全体で取り組む課題も用意しています。科学ジャーナリズムのゼミですから、文章の書き方や写真の撮影の仕方、動画の撮影や編集などは全員が学びます。

 個人研究を進めていくためには、ゼミ生それぞれの進捗具合を私が把握しておかなければなりません。それを演習の時間に個別に聞くよりは、別に時間をとって面談したほうが効率的だということで、私のゼミ生は 2〜3週間に一度、30分ほど私と面談しなければなりません。

 ゼミへの配属は 2年生からですので、この時期は初めての面談を行っているところです。個人研究を進める上で、不安に思うこともあるようです。そもそも、本格的に「研究」と言われると、何をどうしていいのかわからない、という学生もいるようです。

 研究の動機は、私たちのような職業研究者でも、興味や関心です。まずは「これは何だろう」とか「なぜだろう」のような「調べてみたいと思う対象」を見つけることから始まります。そこから自分なりの仮説や仮定を立てて、これまでに発表された論文や書籍から知識を得て、自分の仮説・仮定の真偽を確かめていくのです。研究とはこの繰り返し。

 ゼミ生が研究上で見失ってしまったり、立ち止まってしまった場合には、面談の時に私がサポートします。ゼミ生の自由な発想や着眼点は、たとえ学生であっても研究者として尊重され、守られなければなりません。ゼミ生には安心して、のびのびと研究を進めて、その醍醐味を知ってほしいと思います。

2015年4月21日火曜日

大学は広い…

 法政大学多摩キャンパス(クリックすると大学案内にリンクします)の敷地は、東京ディズニーランド3個分以上だとか。ディズニーランドに行ったことがないので、どれほどのイメージを持てばよいのかわかりませんが、とにかく広いようです。建物がぎっしりと立っているわけではなく、敷地面積のほとんどは緑地です。主だったところを結ぶ遊歩道を歩けば、それなりの運動量になります。

 新入生が大学に来て、およそ2週間が経ちました。この広大なキャンパスの中、授業が行われる建物にはよく立ち入るのでしょうが、そうではない建物に入るには、まだ勇気がいる頃でしょうか。新入生にとってはまだ実感を伴わない多くの施設が大学には備わっています。就職を支援する「キャリアセンター」や学生のボランティア活動をサポートする「ボランティアセンター」、専属の心理カウンセラーが常駐している「学生相談室」、体調がすぐれない時に活用できる「法政診療所」など、さまざまな体制が整っています。

 基本的に学生が立ち入ってはいけない場所はありません。立ち入りが業務や研究に支障をきたすという場合は、「立ち入り禁止」と誰が見てもわかるように掲示されているはずです。どんな施設があるのか、積極的に探検してみるのも楽しいもの。

 多摩キャンパスで学ぶ学生は、授業が終わると速やかに帰宅すると言われています。無駄な寄り道をしないのはいいことなのですが、もっと大学のさまざまな設備を積極的に活用してほしいと願っています。それぞれの「お気に入りの場所」を見つけられるといいですね。私は、「研究・実験棟」など、素晴らしいと思うのですが。

研究・実験棟(12号館)



2015年4月16日木曜日

講義であっても「キャッチボール」は必要です

 当然ですが、講義中に本当にボールを使って「キャッチボール」をされては大問題。指示棒が折れます。今日の話はそれとは違う「キャッチボール」です。

 木曜は大学で「物理学」の授業の日。この時間は講義なので、基本的には教員が黒板やスクリーンに示す内容を、学生がノートに写し取り、知識を増やしていくことになります。私の授業では、スクリーンに投影される内容をノートに写すことになりますが、「講義」というくらいですから私も話をしなければなりません。スクリーンに示されているものにはどういう意味があるのか、これは何を示しているのか、などをできるだけわかりやすく伝えているつもりです。

 話を聞く学生たちの様子はさまざまです。話している内容を簡潔にまとめてノートに書く人、じっと聞いていて微動だにしない人(これは居眠りか? と思いきや、ちゃんと起きている人がほとんどですが)、一生懸命に教科書を読みふける人…

 このとき、話し手にとって「安心感」を与えてくれる人がいます。それは、話の内容に応じて、頷いてくれたり、首を傾げてくれたりする人です。頷いてくれれば、私は「理解してくれているんだな」と思いますし、首を傾げてくれれば、「もう少し違う方法で説明しようかな」と考えます。大教室だと後ろの方まで見えないのではないかと疑問に思う人もいるかもしれませんが、実は教壇からはよく見えています。頷いたり、首を傾げてくれる人たちが教室の何箇所かにいてくれると、私も安心です。

 毎年のことですが、物理学の時間はこのような反応をしてくれる人があちらこちらにいてくれるので、私も安心して授業ができます。もっと多くの人が反応してくれても大丈夫です。せっかく授業に参加しているのですから、教員との意思のキャッチボールができると、より充実した授業になると思います。

2015年4月6日月曜日

平和を考える


 4月から入学した新1年生の皆さんは、今日までオリエンテーションや健康診断などを受けています。7日(火)から、いよいよ授業が始まります。

 大学はいろいろな建物がありますので、広いキャンパスの中、地図を見ながら歩く新入生を見かけます。そんな中、何人かが立ち止まって見ている石碑があります。

法政大学多摩キャンパス内の石碑


 経済学部棟の東側に設置されている、法政大学経済学部同窓会が設置した石碑です。何が書かれているかというと、

     多くの学生が業なかばにして
     軍や工場に動員され
     学園と学問を放棄せざるをえない
     不幸な時代があった
     50年前のことである
     君たちは決してそのような青春を送ってはならない
      1995年8月
       法政大学経済学部同窓会

との文言が石碑に示されており、下の金属プレートには英語・中国語・ハングル語で示されています。学生に語りかけているように書かれている文章ですが、よく考えると、これは「学生を戦場に送ってはならない」という、この大学で教鞭をとる教員に向けられている文章でもあります。

 平和な時代を過ごし、戦争が終わって70年も経てば、戦争の悲惨さを伝えることもどんどん難しくなっていきます。それでも、この石碑を眺めながら、戦争をするということはどういうことなのかを考えることはできるはずです。広島・長崎の原爆の日や終戦記念日にのみ、平和を考えるのではなく、日常から平和を考えてほしいと願っています。