2020年3月14日土曜日

どうしてアルコールで消毒できるの?

今日の法政大学多摩キャンパスには、午後から雪が降りました。多少は雨が混じっていたようで、かなり大きな雪でしたが、この時期の雪には少々驚きました。夕方までには雨にかわり、雪はほとんど解けてしまったようですが、都心では桜の開花宣言があったとか。

法政大学多摩キャンパス(本日午後2時ころ)

さて、コロナウイルスの感染対策でアルコールによる消毒が推奨されていますが、どうしてアルコールで消毒できるのでしょうか? アルコールだったらなんでもいいのでしょうか? という質問をいただきました。

ドラッグストアなどで販売されている消毒用アルコールの多くは、エタノール(構造式:C2 H5 OH)の70パーセント溶液になっています。エタノールによる殺菌効果は70パーセントの濃度でもっともよく現れます。それ以上の濃度だと0℃以下で殺菌作用を示さなくなってしまいます。

エタノールが殺菌作用を示す理由は、詳細がまだ明らかでないところもありますが、

  • エタノールが細胞に作用して、細胞内のアミノ酸やリン酸、カリウムやマグネシウムなど必要な物質が流れ出し、栄養分を取り込むことができなくなり、菌が死滅する
  • 細胞膜とタンパク質が急激に変性することで、細胞が死滅する

の2種類が考えられています。

ウイルスは細菌とは違いますが、ウイルスの表面は「エンベロープ」という脂質の膜で覆われています。エタノールはこのエンベロープを壊します。エンベロープにはホストの細胞にくっつくための鍵がついているので、エンベロープを壊されたウイルスはホストに感染することができなくなります。

しかし、エタノールを使えばすべての細菌やウイルスを死滅させられるわけではありません。細菌の芽胞(ある種の細菌がつくり出す、外の環境から自身を守るバリア)には効果がないことや、エンベロープをもたないウイルス(ノロウイルスなど)にも効果はありません。

アルコールとは炭水化物の水素原子の一部がヒドロキシ基(-OH)に置き換わったものです。消毒を目的として、人体に対する毒性の低い、エチルアルコールや 2-プロパノール(別名:イソプロパノール)が利用されます。

メタノールは人体に対して毒性があるため、間違っても消毒目的のために使用してはいけません。

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