2023年11月13日月曜日

「きりばこ」?

 11月12日(日)のNHKラジオ「子ども科学電話相談」で、素粒子に関係する質問の中で、電話の向こうのおともだちから「きりばこ」の話題が出ました。番組では「きりばこ」について詳しく説明しませんでしたが、私の周辺の大きなおともだちから、「『きりばこ』って、なに? 「桐の箱」かと想像してしまった…」と話題になりました。

スタジオで回答していたときにはまったく気がつきませんでしたが、「きりばこ」という音を漢字に変換すると、多くの人が「桐箱」を連想しますね。

話題にされていたのは「霧箱」です。放射線の存在を目で見ることができるように工夫された実験装置です。箱の中で気体のアルコールが過飽和状態になっています。過飽和状態というのは、いまにも液体に変わってしまう状態になった気体だと考えましょう。ちょっとした刺激を受けると、気体はすぐに集まって小さな液体の粒になってしまいます。

放射線には「電離作用」があります。物質を電気を帯びたイオンの状態にしてしまうのです。そのため、霧箱の中を放射線が通過すると、通り道にそって発生したイオンが刺激となって小さな液体の粒になります。この液体の粒がたくさん集まって「白い線」になって見えるのです。

科学館などで見ることができますが、石川県が提供している霧箱の動画がありますので、ご覧ください。


私たちは常に放射線を浴びています。これらの放射線は、宇宙空間からやってきたもの(これを宇宙線といいます)だったり、地下からやってきます。私たちが食べているいろいろなものからも放射線は放出されています。これらのものを「自然放射線」と呼びます。

科学館などに設置されている霧箱は、そのような自然放射線を目に見える形にしているのです。

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