2022年5月13日金曜日

ダイヤモンドと鉛筆の芯

ダイヤモンドと黒鉛は、ともに炭素(C)からできています。黒鉛がピンとこない人は、鉛筆の芯を思い浮かべてください。鉛筆の芯の主成分は黒鉛で、硬さを調整するために粘土を混ぜてつくります。

これらのダイヤモンドや黒鉛は、純粋な炭素からできていていますが、ダイヤモンドは自然界でもっとも硬いといわれる一方で、黒鉛は非常に軟らかいものです。同じ炭素でできているはずの物質(このように、同じ種類の元素でできているにもかかわらず、性質が全く異なる物質を「同素体」と呼びます)なのに、なぜもこんなに違うのでしょうか。

それは、炭素原子どうしの結びつき方の違いにあります。

炭素の結びつき方の違い(©︎sience-stock)

上の図のとおり、ダイヤモンドは1個1個の原子が周りの原子としっかり結びつき、このときの炭素原子は「共有結合」という方法で結びついています。

一方、黒鉛は六角形をつくりためには炭素原子は共有結合によってしっかりと結びついていますが、図の上下方向には非常に弱い力でしか結びついていません。この弱い結びつきは「ファンデルワールス力」と呼ばれるものです。

黒鉛がぼろぼろと崩れるのは、このファンデルワールス力が弱い結びつきであるためです。結晶構造が違うと、このように同じ炭素原子でできているのに全く違う性質を示すことができるのです。

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