2020年3月4日水曜日

くしゃみの不思議

東京はずいぶん気温の低い一日ですが、みなさんのお住まいのところはいかがでしょうか。さて、こんな質問をいただきました。

くしゃみをする時、鼻がムズムズして「ハックション」とくしゃみが出ます。「鼻」が「ムズムズ」するのに、空気は全部口から出てしまいます。この「鼻のムズムズ」は一体何なのでしょうか?

では、くしゃみが起こる原因を調べてみましょう。鼻粘膜にウイルスが付着して感染してしまった場合、身体の防御反応として炎症が起こります。このとき、肥満細胞と呼ばれる免疫機能を担う細胞から、ヒスタミンという物質が放出されます。このヒスタミンが鼻粘膜の血管を広げて、鼻づまりなどを引き起こします。また、このヒスタミンは鼻粘膜の知覚神経(三叉神経)を刺激します。この刺激は延髄の「くしゃみ中枢」に伝わり、最終的にくしゃみ中枢が、呼吸に関係する筋肉や喉の筋肉、顔の筋肉に信号を送ってくしゃみを起こさせる、ということになります。

ご質問の鼻のムズムズは、鼻粘膜がヒスタミンによって刺激を受けている状態、ということになるでしょうか。花粉症などの内服薬や点鼻薬などに、抗ヒスタミン剤が配合されているものがあります。この薬は、神経細胞とヒスタミンが結びつく場所(これを受容体といいます)をブロックして、ヒスタミンによる刺激を受けないようにしているわけです。

くしゃみは確かに口から出る空気が多いように感じますが、鼻からも空気は出ているはずです。そうでなければ、くしゃみの本来の意義が達成されませんね。気道から出てきた空気の通り道の体積が、鼻を通るよりは口を通る方が大きいので、口から出る空気が多いということでしょうか。あまりきれいな話ではありませんが、軽い鼻づまりのときなどは、くしゃみをすると鼻水が一気に出てきてしまう経験があると思います。鼻からも空気が出て、鼻水など粘性のあるものを押し出していることになりますね。

くしゃみのしくみ、納得していただけたでしょうか。

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