2020年3月2日月曜日

3種類の「北極」

昨日の記事で、
・・・地球の自転軸の北端(北極点)と地球が磁石からできていると考えたときの「地磁気北極」とはわずかにずれています。じつはもう一つ、北極があるのですが・・・
と書きました。まず、地球には次の2種類の「北極」があります。
  • 自転軸の北端(北極点)
  • 地球が磁石であると考えたときの「地磁気北極」

このうち地磁気北極はあまり聞いたことがないかもしれません。これは地球内部に長い棒磁石が埋まっていると考えたときに、棒磁石と地表とが交わる場所のうち、北にある方です。2020年の地磁気北極の位置は、北緯 80.7度、西経 72.7度(クィーンエリザベス諸島付近)にあるとされています。

残りの「北極」とは「北磁極」です。これは、磁場がつくる磁力線が地表で鉛直になる場所で、この場所では方位磁針が上下を向くことになります。棒磁石を厚紙の下に置き、砂鉄を厚紙の上に撒いて厚紙を少し揺らせば、砂鉄が棒磁石のN極とS極を結ぶ曲線を描きます。この曲線が磁力線です。地球の磁場は北半球と南半球で対称になっているわけではないので、棒磁石で見られるようにきれいな対称形にはなりません。

地球の磁場は地球内部(約3,000キロメートルの深さ)にある外核での液体の鉄の運動によって変化すると考えられています。地球の磁場の変動が近年は大きくなっており、2019年の観測では、北磁極の位置は1年で55キロメートルも移動していることがわかりました。北磁極の位置の変化の様子自体も、かなり不規則に変化するのですが、近年の変化はかなり大きいということです。しかし、南磁極の位置はそれほど変化していないとか。北磁極の大きな変化の原因はよくわかっていません。

地球の内部深いところで起こっている変化を理解するには、まだまだ時間がかかりそうです。


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