2018年5月21日月曜日

人間の中での菌のバランス

「菌を移植」と聞くと、少しゾッとするかもしれませんが、近年、人間にとっての細菌の重要性が明らかになってきています。腸内細菌もその一つ。私たちの腸の内部には3万種類にも及ぶといわれる細菌が、およそ数百兆個も存在しているとか。私たちの腸の内面は小さなひだのような構造をとっており、腸の内面の表面積はテニスコート1面分にも相当するといわれます。

腸内細菌は、ビタミンを合成したり、消化を助けたり、あるいは腸に集まってくる免疫細胞をコントロールする役割をも担っているということがわかってきました。いろいろな人の腸内細菌の種類を調べると、その人の生活環境に応じて最近の種類やそれらの比率が異なっていることがわかっています。

潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸の疾患に対して、健康な人の腸内細菌を移植するという治療法が研究されています。これらの疾患は、腸内細菌のバランスが乱れてしまった状況で起こるのではないかと考えられており、患者さんの腸内細菌を一度、抗生物質によって最近をリセットしてから、健康な人の糞を内視鏡で移植する、というものです(当たり前ですが、自分勝手に判断してはいけません)。

さらに、アトピー性皮膚炎に対しても、健康な人の皮膚の常在菌を移植することによって治療を行うという治療法も研究されています。アトピー性皮膚炎は、皮膚の常在菌の種類のバランスが崩れている可能性があり、このバランスを改善することでアトピー性皮膚炎の治療に結びつくのではないか、という研究が進められています。

自然界のバランス(生態系)を守っていくことが大切であると各方面で指摘されていますが、人間の体内の細菌バランスも考えなければならないのですね。

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