2018年4月24日火曜日

科学技術の光と影

先週の19日(木)に、横浜サイエンスフロンティア高等学校で2年生を対象とした「進路ガイダンス」という催しがあり、法政大学を紹介するために出かけてきました。横浜サイエンスフロンティア高等学校は、横浜市立の学校で、ほとんどの生徒は理科に強い関心をもっているとのこと。そのため、やや科学の内容に近い話をしました。

科学技術は私たちの生活を便利にすることに大いに役立っていますが、その陰にはいろいろな課題があったります。ある物体に光が当たれば、当たった部分は明るいけれども、必ず影ができるのと同じこと。

明治から昭和の時代に銅鉱石を採掘し、精錬作業を行っていた足尾銅山(栃木県)についての話をしました。明治期の足尾銅山で製造された銅は、当時の外貨の獲得源として重要な輸出品でした。最盛期には日本で生産される銅の 40パーセントを占めるまでになっていきます。この生産量の高さは、海外からの技術を積極的に取り入れ、さらに日本独自の工夫を加えて、より効率を高めたのでした。足尾は鉱山で働く人々に加え、技術を学ぶために海外からの技術者が訪れ、大変に賑わっていた様子が写真に記録されています。これは足尾銅山の輝かしい「光」の部分でした。

しかし、広く知られているように、足尾銅山は日本最初の公害をもたらしてしまったのです。重金属が渡良瀬川に流れ込み、渡良瀬川流域に鉱毒被害を広めました。当時の技術によって水質汚染は改善しましたが、排気中に放出される亜硫酸ガスの除去は残念ながら不可能でした。そのため、排煙が流れていった方向の山々には、今でも緑がありません。これは足尾銅山とその周辺の人々の生活に刻まれた「影」の部分です。

すべてのものごとにはこのように見方によっていろいろな側面があり、ただニュースを見聞きするだけでなく、「どうしてだろう」とか「こういう考え方はできないのかな」と自分で考えることが大切である、ということを話したのでした。

みなさんもこのようにして日々のニュースを見聞きすれば、いろいろな考え方が存在することに気がつくことでしょう。

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