2018年4月16日月曜日

昨今の学生の就職活動事情

この時期、大学 4年生が就職活動を行っています。私のゼミに所属する学生たちがときどき、履歴書や ES を見て欲しいと研究室にやってきます。ES とは「エントリーシート」のことで、私たちの年代の人々が就職するときには存在しなかったような気がしますが、私が受けた就職試験にはたまたまなかっただけかもしれません。

そのような書類を見ていると、注意書きにこんなことが書かれていました。

  • 消すことができるペンで記入しないこと

果たして、消せるペンで履歴書を書く学生がいるでしょうか。就職活動などで先方に提出する書類を、ボールペンで書くことは当たり前だと思っておりました。なにも書類に注意書きとして示さなくても、その程度のことは誰でも理解していると思っていたのですが。

ただ、私たちの時代にはボールペンといえば消えない筆記具として通用していましたが、みなさんもご存知のとおり、こすると消えるインクが大ヒットする時代。もしかすると、そんなインクで履歴書を書いてしまう人がいるのかもしれません。

さらに履歴書や募集要項をよく読むと、さまざまな注意事項が書かれています。まるでそれだけでもマニュアルのように思えるほどです。さらに驚くのは、履歴書や ES を書くための「虎の巻」が何種類も販売されていること。「虎の巻」とはすでに死語らしいのですが、今風にいえば「カンペ(カンニングペーパー)」ですね。ガイドブックが何種類も書店に並んでいます。これらの本には、ご丁寧に書くべき具体的な内容や、マーカーで色をつけたり、マスコミ関係に提出する場合には、目立つようにさまざまな色のマーカーで美しく仕上げる(私から見ると相当に派手と思ってしまいましたが…)のがいいのだ、とか書かれています。

提出された応募書類のうち、これらのガイドブックに「ならって」書かれたものはいったいどれほどあるのだろうかと、ふと疑問に思いました。現代社会では「自分らしく」とか「個性」などのキーワードでくくられるように育ってきた世代の学生ですが、このような本が売れているということは、もしかすると学生たち自身が「自分らしい」ということを認識できなくなっているのかもしれません。大学 3年生の 3月までは個性豊かでセンスのいい服装をしていた人々が、4年生になったとたんに、みんなが同じような服装に一変します。

「みんなと同じ」ことに安心感をもつのか、あるいはそのように教えられるからなのか、私にはわかりませんが、それほどみんなと同じことが重要なのかどうか、就職試験が終わってから考えることが必要かもしれませんね。

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