近年、話題の「トランス脂肪酸」。どのように話題になっているかというと、世界保健機構(WHO)がトランス脂肪酸の摂取量を、一日あたりおよそ 2 g 未満にすべきと勧告し、デンマーク、スイス、オーストリアなどでトランス脂肪酸の含有量を規制する行政命令を出しました。その後、南米、北米、東アジアではトランス脂肪酸を含んだ食品の表示を義務付けました。日本では、現時点で規制や表示義務は行われていません。
トランス脂肪酸は、私たちの栄養素である脂質の構成要素です。しかし、脂肪酸にはさまざまな種類があり、トランス脂肪酸を食品から摂取する必要はないと考えられています。トランス脂肪酸を摂りすぎによって、肥満などによる生活習慣病にかかるリスクが高まることが明らかになっており、このことが WHO による規制の根拠となっています。
一方で、一般的な日本人の食生活では、トランス脂肪酸を摂取する機会は欧米諸国に比べて少ない(一日あたり 0.7 g)とされており、またトランス脂肪酸の日本人の体質に対する影響については、まだ明らかになっていません。
しかし、日本の食生活の西洋化により、トランス脂肪酸を摂取する機会は以前より増えていることは確かです。そのため、一部の乳製品企業では、トランス脂肪酸の低減に取り組んでいます。
健康的な食生活は、さまざまなものをバランスよく取り入れることが大切です。「脂肪が体に悪そうだから」と極端に制限すると、からだをつくるための栄養素が不足します。かつて、食生活に関していろいろな視点から述べた記事(サイエンスウィンドウ・2010年春号)に取り組んだことがありました。全文をPDFでご覧いただけますので、ぜひご覧ください。
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