2017年8月2日水曜日

『物理学は世界をどこまで解明できるか』

スクリーンの右に表示されている黒地にリンゴが印象的な表紙の『物理学は世界をどこまで解明できるか』は、白揚社から最近出版された翻訳書です。書籍としてまとまった翻訳を手がけたのは 2011年の『ジェーン・グドールの健やかな食卓』(日経BP社)以来、久々でした。

『物理学は世界をどこまで解明できるか』の原題は、“The Island of Knowledge” とシンプルなものでした。人類の知識を島にたとえて、知識が増える(島の面積が増える)と海岸線も長くなり、未知のできごと(海に喩えられています)を見つける機会がより多くなる、という意味が込められたものです。ただ、日本語訳の書籍名として、『知識の島』というのではまったく通じないので、さまざまな候補の中から、『物理学は世界をどこまで解明できるか』に決まりました。

この書籍は、ものが「実在する」ということはどういうことか、を古代ギリシャの哲学者の時代まで遡り、歴史的に解説していきます。「実在」を確認するために、どのような研究が行われ、どのような理論が組み立てられてきたかが丁寧に述べられていきます。ものが「実在する」のは宇宙ですが、宇宙はどのようにできたのか、現在の宇宙を科学者はどのように考えられているのか、ということに話が及びます。さらに、最初に宇宙がつくられたときは非常に小さな領域、つまり素粒子の世界での話になりますので、自然な形で素粒子の話題へと繋がっていきます。「宇宙の初期を追求すること」は、「素粒子の世界を調べること」と同じ意味をもつわけです。

この書籍、400ページ近くの読み応えのあるものですが、価格は 2,500円と比較的安価に設定されています。担当編集者の方と、私の努力の結晶ですので、みなさまも書店で見かけられましたら、手にとって少し立ち読みして、ご関心がありましたらお買い求めください。

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