2016年1月15日金曜日

永久機関

 これまで、中学生や高校生のうち、科学に関心のある生徒がどのような内容に興味をもっているかを知る機会が多くありました。そんな中で、生徒たちが少なからず「永久機関」に関心をもっていることを知りました。

 永久機関とは、「外部からエネルギーを受け取ることなく、仕事を行い続ける装置」のことです。古くから多くの科学者や技術者が、この永久機関を作ろうとさまざまな努力を重ねてきました。この永久機関は、(1) エネルギーのない状態からエネルギーを作り出す装置と、(2) 熱をすべて仕事に変換し、その仕事で発生した熱を再び仕事に使うことで永久に動かすことのできる装置、に分けられます。

 残念ながら、そのような永久機関は存在しないことが明らかになっています。それは、熱力学の法則が確立したことによって否定されました。(1) は、エネルギーの総量は保存される(最初の状態と最後の状態とでのエネルギーは変わらない)ことから、何もないところからエネルギーが発生することはないため、また (2) は、熱は高いところから低いところへと移っていく(ひとりでに温度が高くなっていくことはありえない)ことから、それぞれの永久機関の原理は否定されます。

 なぜ、高校生が永久機関に魅かれるのでしょう。物理学の学習をすれば、このような原理が存在できないことを理解できるはずです。それでも、かんり真剣に考えている生徒がいます。

 確かに永久機関を作ることができれば、現代社会が抱えているエネルギー問題は一気に解決されます。また、環境問題も大きく解決に向かうでしょう。そういう点に魅力を感じるのかもしれませんが、私自身、生徒たちがなぜそう思うのか、よくわかっていません。理科教育の研究テーマになりそうな気がするのですが。

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