2015年11月4日水曜日

インフルエンザの流行

 今年もそろそろ、インフルエンザウイルスの流行時期を迎えます。現在、子どものエンテロウイルス68型の流行をワイドショーが扱っていますので、感染症に対する関心も高い時期かもしれません。

 インフルエンザの流行は毎年12月下旬から始まります。インフルエンザはのどの痛みや咳のほか、38℃以上の発熱や関節・筋肉痛を伴い、重症化しやすい感染症の一つです。大流行を防ぐために、毎年その時期に流行しそうなインフルエンザウイルスの型が予測され、ワクチンが用意されます。インフルエンザウイルスの「型」は、A型・B型・C 型の 3種類があり、さらに分類すれば 1918年にスペインかぜの原因となった H1N1型、1968年に香港かぜを引き起こした H3N2型などとなります。現在流行の主流になりうると考えられているのは、A型が 2種類、B型が 1種類あるそうです。

 この型の違いは、ウイルス表面のタンパク質の違いによるもの。インフルエンザウイルスには、表面のタンパク質が変化しやすいという性質があり、この性質のためにヒト以外のいろいろな生物に感染して広く分布することができると考えられています。

 今までインフルエンザワクチンは、その時期に流行しそうなA型で 2種類、B型で 1種類のワクチン株で作られていたのですが、今年からはB型がもう 1種類増え、合計 4種類のインフルエンザウイルスに対応できるようになります。

 一方で、問題もあります。新しいワクチンは昨年より値段が高くなり、ワクチンの接種率が下がるのではないかと懸念されていること。接種率が下がれば、その分大流行に結びつくリスクも高くなり、社会的・経済的に受けるダメージが大きくなる、というものです。

 もちろん、ワクチンを接種したからといって絶対にインフルエンザウイルスにかからないというわけではありませんが、かかったとしても軽く済む、というメリットもあります。高齢でもともと体調がすぐれない人がインフルエンザに感染してしまうと、重症化し、場合によっては取り返しのつかないことになってしまうという事態に備えて、かかりつけの医師と相談の上、流行期が到来する前にワクチンを接種することが大切です。

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