2015年11月24日火曜日

鳩が医療に貢献!?


 というタイトルで始めると、みなさん何を想像するでしょうか。科学専門雑誌 PLOS ONE に掲載された記事を紹介しましょう。

 がんの診断には組織の一部を切除し、専門家が顕微鏡によって診断します。これは顕微鏡によって拡大された細胞の形や色などを判断して診断をつけるのですが、この過程を鳩に行わせてみるとどうなるか、という研究が発表されました。下の写真は、その訓練中の状況です。鳩の前に顕微鏡画像があり、このスクリーンはタッチパネルになっています。画像の横には、青色と黄色の部分があり、鳩はこの画像が「がん」の特徴を示すかどうかを判断し、どちらかの色をつつくのです。うまくできると餌が与えられるというしくみです。鳩に訓練をさせた結果を報告した論文です。

Pigeons (Columba livia) as Trainable Observers of Pathology and Radiology Breast Cancer Images: Richard M. Levenson,  Elizabeth A. Krupinski,  Victor M. Navarro,  Edward A. Wasserman; PLOS ONE, November 18, 2015.

 問題は、鳩がどれだけの正確さで判断できるか、ということです。1ヶ月の訓練ののち、鳩が画像を識別する正確さは 80%まで向上しました。さらに、複数の鳩を組み合わせることで、正確さは 99%まで上昇するとか。ここまでくると専門家と同等で、画像をコンピューターによって識別する方法よりも優れているとか。

 もちろん、鳩が人間にとって代わるとは考えられていません。鳩が訓練を受けて能力を向上するより先に、コンピューター技術の向上のほうが現実的です。鳩の視覚認識機能は、人間とよく似ているのです。この研究は、がんの診断技術を人間が習得するとき、より効果的に教育を行う方法を探るための研究です。

 人間の行動や学習過程を研究するために、いろいろな動物が活躍しているのです。

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