2015年10月29日木曜日

宇宙の外には何があるのか?

 今日の物理学の授業では、宇宙論について話をしました。

 現在の宇宙は膨張している、つまり広がっていることがわかっています。この後、宇宙はどうなっていくかという点に関心が集まり、さかんに研究が進められています。このような研究を行う分野を、「宇宙論」といいます。

 宇宙の最期はどうなるかということについて、いくつかの考え方が示されています。そのうち、今日の授業で紹介したのは、宇宙はどんどん広がり続け、やがてほぼ絶対零度(マイナス273℃)という、極低温状態になってしまう、というものでした。

 宇宙の最期についての考え方は、これだけではありません。そのいくつかは、別の機会に紹介しますが、今日の授業が終わってから、こんな質問がありました。『宇宙が広がっているということでしたが、では宇宙の外側はどうなっているのですか。広がるだけの余裕があるということは、もっと大きな空間があるのですね?』という質問でした。さて…

 私たちは宇宙に関する情報は、光を通じて受け取っています。光が 1年間に進む距離を「1光年」(およそ 9 5000 0000 km)と定義しました。宇宙は生まれてから 137億年が経過していると考えられていますので、宇宙が生まれた時に光を放出した物体があるとしたら、その物体は 137億光年先にあると考えることができます。ところが、137億年前に光を放出した物体は、宇宙そのものが広がっているために、470億光年先にあると天文学者は考えています。

 では、その 470億光年の先には何があるのか? 「私たちは宇宙に関する情報は、光を通じて受け取って」いますが、この 470億光年の先から光が届くことはありません。観測によって明らかにならないことについては、確認する手段がないので、科学的には「わからない」と答えるしかないのです。質問してくれた学生さんには物足りない答えかもしれませんが、科学的にはこう答えるしかないのです…


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