2015年9月4日金曜日

ものが見えるわけ

 小さな窓から、輝く白い雲をふと眺めていたら、ちょっと長く見過ぎたのか、目を閉じてもしばらく残像が消えません。そういえば、電話相談に「どうして残像ができるのですか」という質問に答えたなぁ、と思い出しました。

 人間がものを見ることができるのは、眼の中の網膜細胞が光を感知して、脳に情報を伝えるためです。網膜の中には「ロドプシン」と呼ばれる色素が存在します。このロドプシンは、さらに 2つの化学物質「オプシン」と「レチナール」からなっていて、オプシンはたんぱく質です。レチナールはビタミンAからつくられます。

 ロドプシンは、オプシンの中にレチナールが格納されているようなつくりをしています。このロドプシンに光が当たると、レチナールの形(立体構造)が変化して、オプシンの中から飛び出してきます。この時の変化が、刺激となって「見える」という信号を脳に伝えているわけです。

 この変化してしまったレチナールは、しばらくするともとの形に戻り、再びオプシンに格納されてロドプシンになります。強い光を受けた結果、大量のロドプシンが変化してしまうと、瞬時にロドプシンに戻すことができずに、残像が見えるのです。

 レチナールもいつまでも存在するわけではなく、消費されていきます。レチナールの原料のビタミンAが不足すると、夜など暗いところでものが見えにくくなる病気になってしまいます。ビタミンの過不足は、健康状態に大きく影響しますので、気をつけたいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿