2015年8月14日金曜日

宇宙はゆっくり死にかけている

 − Charting the Slow Death of the Universe − 少々驚くタイトルですが、現在の宇宙の状況を最新の研究によって端的に示した言葉です。これは、オーストラリアの天文学者 Driver 氏が明らかにした研究成果です。

 宇宙は現在、どんどん広がっています。その広がる速さも加速されていることがわかっていますが、その理由は、現在の天文学では説明できていません。

 Driver 氏の研究チームは、宇宙の20万個以上の銀河をいろいろな波長の電磁波で観測し、それらの銀河がどれだけのエネルギーをつくり出しているのかを計算しました。私たちは電磁波のうち、可視光を「光」と呼んでいます。この光は、実は電磁波という波の一種で、電磁波にはほかに赤外線や紫外線、X線などがあります。これらは波長の違いで区別されています。その一つの例が、以下の写真です。私たち人間の眼は可視光しか見ることができませんが、赤外線や紫外線を見ることができる「眼」で、ある銀河を観測した写真が、以下のものです。

ある銀河を紫外線・可視光線・近赤外線・中赤外線・遠赤外線で観測した画像 (C)ICRAR/GAMA and ESO
 電磁波はエネルギーをもっていますので、電磁波がどれだけ出ているかを計算すると、その銀河が放出するエネルギーを見積もることができます。より多くの銀河を観測すれば、宇宙全体が放出しているエネルギーを見積もることができます。20万個以上もの銀河を詳細に観測した結果、現在の銀河がつくり出すエネルギーは 20億年前と比べると、およそ半分しかない、ということがわかったとのこと。この研究結果は、現在の銀河での星をつくり出す量が、過去の銀河に比べて減っていることと矛盾しない、と 研究グループの一人は述べています。

 宇宙がこの先どうなっていくかを明らかにする「宇宙論」は、今もっとも研究が盛んな分野。このブログの読者から、このような分野の研究者が現れることを期待しています。

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