2015年5月14日木曜日

太陽を観測しよう

 今日の物理学の時間に、太陽の話をしました。私たちにもっとも身近な恒星である太陽は、日食のような天文イベントがあれば注目されますが、なんでもないときには「ごくあたりまえ」の存在としてなかなか観測する機会がないかもしれません。

 日食を観測したことのある学生たちも数多くいるようです。そのとき、どんな方法で観測したかを尋ねました。
 ① 太陽観測用に販売されている「日食サングラス」を使って観測
 ② ガラス板にろうそくの炎などのすすをつけて観測
 ③ 現像した写真フィルムの端にある黒い部分で観測

 圧倒的に①の「日食サングラス」を使って観測しているようですが、②のすすをつけたガラス板を通して太陽を観測した人も数名いました。デジタルカメラの時代ですから、③の方法で観測した人はいなかったようです。

 私が子供の頃、太陽を②の方法で観測することができると、本に書いてあったように記憶していますし、実際にそのように見た記憶もあります。太陽が思ったよりも小さく見えたことに驚きました。

 しかし、②や③の方法で太陽を観測してはいけません。②や③の方法は、太陽からの強い可視光線を弱めることはできるのですが、赤外線を弱めることができません。人間の眼は網膜によって光を感じ、その信号を脳に伝えることで物体を認識しています。赤外線はものを温める作用がありますが、太陽を見つめると、網膜に強力な赤外線を当てることになります。すると網膜が炎症を起こし、視力が低下したり、最悪の場合は失明という事態を招きます。太陽を観測するときには、赤外線も弱めることができる①の方法で行いましょう。

 日食サングラスを使っていても、長い時間、太陽を見つめていると、気分が悪くなったり、めまいを感じることがあります。これは、「これ以上太陽を見続けてはいけない」という身体からのサイン。そうなったら、しばらく眼を休めなければなりません。安全な方法で太陽を観測して、今まで考えていた太陽の大きさを確かめてみてはいかがでしょう。私の研究室には、日食サングラスがありますので、使いたい人は声をかけてください。

0 件のコメント:

コメントを投稿