「透明人間」とは、1897年に発表された H. G. ウェルズの “The Invisible Man” で創作されたフィクション。薬を飲むと透明になれるという物語です。SFだからこそ、あり得るストーリーで、実際に透明になることができる薬なんて存在しません。皆さん、透明人間になりたいなんて思うことはありますか。
透明人間そのものになることは残念ながらできませんが、現代科学は「透明人間になりきる状況」を作り出すことができます。近年のバーチャル・リアリティー技術を使って、「透明人間になったら、どんな感じ?」かを明らかにする研究が科学雑誌 Nature 姉妹誌 である Scientific Reports に発表されました。その A. Guterstam, Z. Abdulkarim, & H. Ehrsson の論文をお読みになりたい方はこちら(英文)。
彼らの論文では、自分が透明人間になったときの認識、反応などについて検証した結果が報告されています。確かに自分が「透明になった」という錯覚を得ることができたとのこと。透明人間になると、周りからは見えなくなるわけです。ふつうの人は、多くの人に「見られている」と感じると緊張を感じるもの。透明人間になれれば、そんなストレスからは解放されるでしょうか。この研究では、仮想の観衆の前に立たされた場面をつくり出し、透明人間になりきっている人の状態をモニターしました。すると、透明である方が心拍数やストレスが低くなることがわかったといいます。
やはり、透明人間はストレスフリーに生きられるかもしれませんが、人間はストレスがなにもなければ、それはそれで精神的に耐えられないとか。人前で緊張してしまう人は、「誰も聞いていない」と思い込むとずいぶん楽になります。お試しあれ。
<SMC-Japan.org から配信された情報を利用しています。>
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