キュウリに味噌でもつけて食べたくなり、キュウリを取り出して、ヘタを切ってこすり合わせました。が、この作業で本当にあくが抜けるのでしょうか。そもそも、あくとはなんなのでしょう。
長い間の疑問でしたが、調べてみるとキュウリのあくは「蟻酸(ぎさん)」という物質が主成分で、このために渋味があるそうです。キュウリの蟻酸は皮のすぐ下にある維管束という水分や養分を通す管の中に多く含まれており、この維管束の中の液体を出せば、蟻酸も出て行くということになります。こすり合わせたときに出てくる「白い汁」に蟻酸が多く含まれているようです。この汁の味を確かめて渋ければ、たしかにあくなのでしょうが、残念ながらその勇気はありません…
キュウリのヘタをこすり合わせることで、維管束の中の液体が流れていくことが、実験によって確かめられています。しかし、問題はその時間。実験でこすり合わせた時間は、2分間! 両端をこすると、合計で 4分間が必要になるということでしょうか。これだけこすると、大部分のあくが抜けるとか。今まで私は、こんなに長い間、こすっていたことはありません。せいぜい 10秒でしょうか。これではおそらく、あくはほとんど抜けていなかったはず…
蟻酸とは字のとおり、アリに関係しています。ある種のアリは巣として蟻塚をつくりますが、その蟻塚から酸性の気体が発生していることが知られていました。1671年にこの酸性を示す成分をアリから分離することに成功し、アリの酸(formic acid)と名付けたそうです。すべてのアリが蟻酸を含んでいるわけではありません。ちなみに蟻酸の化学式は HCOOH で、酢酸などと同じカルボン酸の一種です。
次回、キュウリを食べるときは、こすり合わせる時間を変えてみて、本当にあくが抜けているのかいないのか、試してみることにします。
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