今では使う人が少なくなった万年筆。コピーをとるには不向き、複写式の書類を書くときには筆圧をかけなければならないので、万年筆では力をかけられない、などという理由のようです。それでも文房具店には、たいてい万年筆の在庫があります。それなりの需要があるのでしょう。入学・卒業などの贈り物などによく選ばれるのだとか。
万年筆は、ペン先をインク壷につけることなく書き続けることができる筆記具として、19世紀後半に発明されました。英語では fountain pen といい、fountain とは泉のことです。泉のようにインクが湧き出る、という語源です。
インクをためたタンクから、ちょうどいい具合にインクが染み出てくるのは、タンクからペン先に通じた細い溝の毛細管現象によるものです。この溝だけでは、うまくインクは流れません。もう一つの溝が通っていて、こちらはタンクに空気を通るものです。インクが流れた分だけ空気をタンクに入れないと、タンク内の圧力が低くなり、インクの流れが悪くなるのです。
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Science Window 2014年冬号 (C) JST |
万年筆のペン先の構造は、上の図のようになっています。この図は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が発行している科学雑誌 Science Window に掲載された、イラストレーター西澤真樹子さんによるものです。私がこの雑誌で「カタカナ語でサイエンス!」という連載を執筆しており、このページで扱われたものです。この雑誌はウェブ上で無料で読むことができ、学校教育にも広く活用されています。興味のある方は、ぜひどうぞ。
さて、私が愛用する、舶来物の少し重たい万年筆。私は古いタイプ(?)なので、万年筆は必需品です。文章をつくるときはパソコンに入力するよりも、原稿用紙や罫紙に万年筆で書いた方が集中できます。この書き味がどうもおかしい。今ひとつ、インクの出が悪いのです。ただ、悪いといっても出ないわけではなく、書き始めに引っかかる感じがするのです。もう何年も使っている万年筆で、書き慣れたものですから、いつもと違うというのはとてもストレスです。耐えられなくなって、ついに修理に出すことにしました。この修理が完了するまで、約2カ月かかるとのこと。まだまだ戻ってきませんが、戻ってくるのを待ち遠しく思っています。桜が咲く頃までには直るでしょうか…
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