2012年5月22日火曜日

日食網膜症

日食は人々を魅了するイベントですが、この後に「日食網膜症」とよばれる疾病の人が増えるといわれます。国立天文台や新聞・テレビなどでは、決して裸眼で太陽を見上げることがないよう、呼びかけていましたが、今回も少なからず日食網膜症にかかってしまった人がいたようです。

網膜とは、眼球の内部にある、光を感じ取る細胞の集まりです。カメラでいうとフィルムの部分にあたります。

網膜は眼の奥にありますが、ここに赤外線やブルーライト(可視光線のうち、青い成分の光で、もっともエネルギーが高いもの)とよばれる光線が長時間当たると、網膜がやけどを起こします。網膜には痛みや熱さを感じる神経がないために、観測中はダメージを受けていることに気が付かないところもやっかいです。あるいは、網膜をつくっている細胞が、これらの光線によって光化学的に変性(性質が変わってしまうこと)を起こすこともあります。

日食網膜症は最初のうちは「まぶしい」、「充血する」などの違和感を感じ、さらに時間が経つと「視力の低下」や「視界に黒いものが見える」などの症状が現れます。

数週間や数か月という長い時間をかけて、ゆっくり回復していくものですが、ひどい場合には回復せず、視力が失われてしまうことがあります。

いずれにせよ、日食観測後に眼に違和感がある場合は、すぐに眼科で診断を受けましょう。

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