2011年6月30日木曜日

核融合科学研究所

28日(火)、とても暑い一日でしたが、岐阜県土岐市にある「核融合科学研究所」に見学にでかけました。東京から新幹線で名古屋、名古屋から快速で多治見まで、そこからは車で移動します。東京からは2時間30分ほどの距離です。

2つの原子核を近づけると、新しい1つの原子核になることがあり、これを「核融合」といいます。もちろん、日常的な状況では起こりません。星の中心部など高温・高圧の条件が揃って、起こる反応です。このような核融合の場合、反応後の質量がほんの少しだけ軽くなり、軽くなった分はエネルギーとして放出されます。

太陽など恒星の中心部では、4個の水素から1個のヘリウムへと核融合が起きています。
4H → He + エネルギー
太陽は、このときの発生するエネルギーで、約100億年もの間、輝き続けるのです。

さて、研究所の名前に「核融合」とついていますが、じつはこの研究所では核融合の研究は行っていません。この核融合の前段階となる「プラズマ」の研究を行っています。

プラズマとは、固体・液体・気体に次ぐ、物質のもう一つの姿で、陽イオンと電子に別れて自由に運動している状態です。意外と身近な存在で、蛍光灯が光るのは、通電することによって蛍光管の内部の気体がプラズマとなり、光を放つためです。また、炎もプラズマの一種です。

古代ギリシャでは、物質は四態である(「地」、「水」、「空気」、「火」)と考えられていたとか。 宇宙空間では、物質の90%がプラズマ状態になっていると考えられています。

この研究所では、プラズマを発生させるため、巨大なドーナツのような円環が設置されています。その中を真空にして、ごくごく少量の気体(水素)を入れ、温度を数千万度に上げてプラズマをつくり出します。

ちょうど実験スケジュールが空いていて施設を使っておらず、幸運にもこの円環内部に入ることができました。

この空間部分にプラズマができるのです。実験中はものすごい高温になる中に、人間がいることに不思議な感覚を覚えます。 中の人びとが「防護服」のようなものを着ているのは、汗をこの中に落とさないためです。おかげで汗だく・・・

この研究所では、「核」という名称から、危険ではないだろうか、放射線が出ているのではないか、などの問い合わせが頻繁にあるそうです。ずいぶん以前から地元の住民の皆さんには理解を深めてもらおうと、見学の受け入れだけでなく、研究所の広報として新聞折り込みなどを行ってきた結果、付近の住民の皆さんの理解はある程度得られたとか。

「何かが起きてから対処する」のではなく、普段から地道に理解を得られるように行動することが大切だということを改めて認識しました。

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