2025年1月3日金曜日

白パンはなぜ白い?

みなさま、あけましておめでとうございます。2025年がみなさまにとって素晴らしい一年になることをお祈り申し上げます。


さて、2024年 12月 30日に放送された、NHKラジオ「冬休み 子ども科学電話相談」。小学校2年生のお友だちから、「食パンはやわらかいのに、焼くとどうしてカリカリになるの?」という質問について、関連した質問がこのサイトに寄せられました。


【質問】────────────
「食パンを買ってくると、焼かれて外側が茶色に色づいています。切ってトースターで焼けば、白かったところが茶色になりますが、『白い食パン』とか『白パン』などの名前で販売されているパンは、焼いているはずなのに白いのはなぜ?」
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パンは焼くと色がつくもの。そう思っている人も多くいらっしゃるかもしれませんが、確かに「白パン」などは焼かれているはずなのに白いままです。パンや肉など、焼くと色がつくのは「メイラード反応」という化学反応によるものです。メイラード反応とは、糖とアミノ酸が反応して茶色の物質(メラノイジン)が生じる反応です。パンが焼けて茶色になったり、生肉が焼けて褐色に変化したりするのはこのためです。茶色の物質ができるだけでなく、香ばしい香りを生じる物質も作り出されます。

このメイラード反応は、180 ℃ほどになると急速に進みます。それより低い温度でも、進み方はゆっくりですが反応は起こります。その一例が、白パンです。白パンが工場で焼かれるとき、150〜160 ℃くらいの比較的低い温度で焼きます。そのため、急速なメイラード反応が起こらず、表面が白いままなのです。

フライパンの上のような高い温度でなく、低い温度でメイラード反応が起こっている例に、味噌があります。味噌は大豆や米が種原料ですが、これらに含まれる糖とアミノ酸でメイラード反応が起こり、時間の経過とともに色が濃くなっていきます。

ほかにも、刻んだ玉ねぎを弱火で炒めると飴色に変わるのも、メイラード反応によるものです(ただし、焦げてさらに色が濃くなってしまった状態は、炭化です)。

なお、メイラード反応の「メイラード」とは、この反応メカニズムを明らかにしたフランスの化学者、ルイ=カミーユ・マヤール(マヤールは英語読みだとメイヤードになり、日本語では「メイラード」になったようです)に因みます。