2025年1月13日月曜日

2024年の夏は暑かった… それだけではなく…

2024年の夏、みなさんはどんな夏だったと記憶していますか? ここ数年は毎年暑く、私などはいつの年が暑かったかの比較ができないほどですが…

欧州連合(EU)の気象情報機関であるコペルニクス気候変動サービスは、2024年の平均気温が工業化以前(1850〜1900年)の平均気温と比較して、1.6 ℃ 高かったと発表しました。

また、アメリカ航空宇宙局(NASA)の発表でも、2024年の年間平均気温が1880年の観測開始以降で最も暑かったことがわかりました。NASAのデータによれば、工業化以前(1850〜1900年)の平均気温との比較では 1.47 ℃ 高かった、と報告されています。

この記録は2年連続で更新されました。「1.5 ℃」の基準は、2015年のパリ協定で採択されたもので、パリ協定は「地球の平均気温の上昇を工業化以前の平均気温に比べて 1.5 ℃ 未満に抑えるための取り組みを進めよう」と国際間で取り決められたものです。

単年度で 1.5 ℃ を越えたからといって人類が今にも滅亡してしまう、というようなことではありません。しかし、 1.5 ℃ を上回る平均気温が長期的に続いてしまえば、気候変動の影響はより深刻になるであろうという研究報告書はいくらでもあります。パリ協定で 1.5 ℃ という基準が採択されたのは、人為起源の変化があるレベルを超えると、気候システムにしばしば不可逆性を伴うような大規模な変化が生じる可能性があると考えられ、これは産業革命前と比べて、 1 ℃ から 2 ℃ の間の気温上昇で生じると考えられたためです。このような「後戻りできなくなる段階」を「ティッピング・ポイント」といいます。今、私たちは確実にティッピング・ポイントに向かっているのです。

NASAゴダート宇宙研究所の Gavin Schmidt 氏によると、今から 300万年前(鮮新世)の温暖だった時代の平均気温は、産業革命前より 3 ℃ 高かったに過ぎない、とのことです。この時代の海面は、現在に比べておよそ 25 m 高かったと考えられています。Schmidt 氏は、最近の150 年間で、鮮新世の暖かさの半分にまで到達しているのだ、と言います。地球の非常に長い歴史の中で成し得た気温変化を、人類による工業化はあっという間に実現してしまったことになります。

地球温暖化に対しては、いろいろな考え方があります。気温の変化は、今、なにかを行ったからといって、すぐに成果の出るものではありません。目先のことだけを考えていればいいような状況とは本質的に異なるのだ、ということを理解しなければならない問題です。



上の動画は、NASA’s Scientific Visualization Studio に収録されています。1880年1月からの月別の地球の平均気温が、1951〜1980年の月別平均気温に比べて、どれほどの差があったかを視覚的に示したものです。

私たちが「過ごしやすい日本の夏」を取り戻すことはできるでしょうか?


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