2017年8月28日月曜日

「水は100℃で沸騰する」は正しいか?

今期のNHK「夏休み子ども科学電話相談」は 31日まで放送が続きますが、私の当番はすべて終了しました。とてもたくさんの質問をいただいておりましたが、全部に答えることができないことを心苦しく思っています。皆さんの科学への関心を高めることができるよう、できるだけこのブログでお答えすることができればいいなと思います。「大きなお友だち」向けの回答になってしまうのはやむを得ないのではありますが・・・

さて、毎年のように寄せられる、「定番」とも言える質問がいくつかあります。水蒸気や氷に関する質問ですが、その回答のなかで「水は100℃で沸騰するのです」という私の発言に、ネット上ではいろいろなご意見があります。

何が問題かというと、実は温度の単位である「℃」(セルシウス温度)は、常温(20℃)常圧(1気圧)のもとで水が沸点を 100℃、水の凝固点を 0℃ として、その間を 100等分したものだからです。

このことについては、番組で回答するときだけではなく、いつもいろいろと考えさせられます。「セルシウス温度の定義をきちんと述べた上で、水の性質を話す」べきか、あるいは「セルシウス温度の定義は置いておいて、水の性質を話す」のかなど、どうするのがいいのだろうかと考えます。番組は学校の授業に必ずしも準拠することはないので、温度の定義を説明するほうがいいのかもしれません。

さらにこの話題は、水の沸点は正確には 100℃ではない、ということにも広がります。水は標準気圧(1気圧 = 1013 hPa)では約 99.9743℃ なのです。正確さに重きを置くか、もっと別の観点から説明するか、ということかもしれません。

科学は一般に、答えは一つです。説明のしかたは何通りかあることはごく普通のことですが、「だれでもわかる」「だれでも納得できる」という回答をすることは難しいなぁ、と今さらながら考えています。みなさんはどうお考えになりますか?

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