2016年5月31日火曜日

絶対零度

 この時期の東京の気温は 25℃ くらいでしょうか。真夏になれば 35℃ という気温になることもあり、最近は毎年のように最高気温が更新されています。気温が低い方では北海道・旭川市の −41 ℃ が記録されています。さて、温度の下限は存在するのでしょうか。

 温度は −273.15 ℃ を下回ることはありません。この温度を「絶対零度」と言います。物体の温度は「原子や分子の振動」が熱の由来になっており、原子・分子の振動が止まった状態が絶対零度になるためです。原子・分子の振動が止まった状態とは、エネルギーがゼロになっている状態です。この状態は極限的な状態と考えられ、自然にあるいは人工的に絶対零度に到達することはありません。

 絶対零度に極めて近い温度、一般的には −269 ℃ を下回るほどの環境での物質の振る舞いなどを研究する分野を「極低温物理学」と呼びます。このような状態では、例えば物体の電気抵抗がゼロになる「超電導」という現象が確認されています。もし、超電導をより高い温度で実現することができれば、現代社会の送電の課題を解決することができる可能性があります。どういうことかというと、発電所でつくられた電気は、送電線を通じて送られていきますが、この電気エネルギーは送電線の電気抵抗によって熱エネルギーに変わってしまっています。つまり、せっかくつくった電気が途中でなくなっているということです。

 超電導の性質を利用して、電気抵抗の少ない送電線をつくることができれば、より効率的に電気を利用できるというわけです。

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