2017年9月17日日曜日

血液は鉄の味?

ブログをご覧の方から、「血液の味は鉄の味がすると誰もが感じますが、鉄を食べたことはないのに、どうして鉄の味っていうのでしょうね。そもそも本当に血液は鉄の味なのでしょうか?」という質問が寄せられました。

確かに、冬など乾燥した時期に唇が切れて血が出てしまったとき、「鉄の味」といいますね。鉄を食べる人はいませんが、どうして鉄とわかるのでしょうか。

血液をつくり上げている成分のうち、赤血球には確かに鉄が含まれています。赤い色を示すヘモグロビンがそれです。ヘモグロビンはおもに脊椎動物の赤血球に含まれる成分で、酸素の豊富なところでは酸素と結びつき(こういう状態になったヘモグロビンをオキシヘモグロビンといいます)、酸素が少ないところでは酸素を放出する(こちらはデオキシヘモグロビンといいます)という性質をもった物質です。酸素が豊富な肺で酸素を取り込み、毛細血管で酸素が少ないところでは酸素を手放して、私たちの体じゅうに酸素を届けます。

このヘモグロビンが鉄のような味の原因なのだと思います。出血したものが舌に触れたとき、赤血球の細胞膜が壊れて、赤血球の内容物が外に出てくるので、その味を感じているのかな、と思います。この赤血球の細胞膜が壊れてしまう現象を溶血といいます。高校の生物などで浸透圧などを習った方もいらっしゃると思います。人間をはじめとする哺乳類の浸透圧は 0.9%の濃度の食塩水と同じなのですが、それより薄い溶液に赤血球がおかれると、赤血球が破裂してしまいます。溶血はこれだけでなく、血液を乱暴にかき混ぜたり、冷凍させたりなど、さまざまな原因でも起こります。

ただ、食べたことのない「鉄」の味、ということをなぜ認識しているのか、答えが見つかりません。鉄棒遊びやおもちゃ遊びなど、小さい頃からのいろいろな経験から、鉄の味を認識させてくれるのでしょうか。

鉄分の補給を目的に、鉄瓶など鉄製品を利用しようとしている方もいらっしゃることでしょう。果たして鉄瓶の利用が生物に対して鉄分補給に役立つのでしょうか? このような研究をテーマにした研究論文がありました。対象はラットですが、鉄鍋を使って作成した餌には鉄分の補給に役立つということです。日本人に必要な毎日の栄養素が紹介されているページはこちら(江崎グリコ)ですが、これだけの量を鉄瓶や鉄鍋だけで補給することは難しいでしょうが、鉄分の摂取が不足気味の人には、補助的な効果を期待できるかもしれませんね。

好き嫌いなく、いろいろなものをバランス良く食べる、ということが健康の秘訣かもしれませんね。

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